りぼんの読書ノート

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ばいばい、アース 1.理由の少女(冲方丁)

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地には花。空には聖星。猫や蛙、鼠などさまざまな動物のかたちを纏って生まれてくる人々。「不思議の国」のような世界にたったひとり、牙も毛皮も鱗もない「のっぺらぼう」として生まれた少女、ラブラック=ベル。異形の存在である少女は、自分と同じ存在を探して、放浪の旅に出ます。

都市(パーク)、刻印(スペル)などの独特のルビ。ENOLA、EREHWON、EMOCLEWなどの、逆読み言葉に与えられた新しい意味。さまざまな神話、RPG、アリスなどの断片が混交した世界。後のマルドゥック・シリーズシュピーゲル・シリーズの原点なのでしょう。

本書は、著者の最初期の作品を4分冊の文庫とした第1巻です。あと3巻分の続きがあり、少女の戦いもまだ途中なのですが、もう十分かな。この種の物語には「完成度」が必要なのです。

2015/10