りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

本朝金瓶梅 西国漫遊篇(林真理子)

イメージ 1

中国の奇書『金瓶梅』を日本版にアレンジして、好色な大富豪の西門屋慶左衛門と、好色な悪女おきんを主人公とする3部シリーズの最終巻です。

悪事にびびって男の武器が役に立たなくなり、噂の強壮剤を入手すべく四国へと旅に出た慶左衛門でしたが、お伊勢参りの効力なのでしょうか。いつの間にか回復してしまいました。そのことを、連れの悪女たちに隠したまま、旅先のあちこちでつまみ食いをしようとする慶左衛門の珍道中は続きます。

京都では、亡くなったおりんに似ている遊女と出会ってしんみりしたものの、大阪で出会った娘浄瑠璃の寅之助とは意気もナニも統合。しかし、旅の終点の金毘羅には、巨大カメが待っていたのです。おまけに、江戸に連れ帰ろうと思っていた寅之助は、四国の田舎武士に奪われる始末。

そして、物語は終息へと向かいます。慶左衛門の妾たちが、次々と彼のもとを離れていくのです。饅頭屋の若後家お花は、若い番頭を婿に取って家業に専念。亭主持ちのお六は、お殿様から家来筋の豪農に嫁がされた娘のおかんと同居するために房総へ。本宅に同居していた妾のおきんですら、婿を取った娘のおせいから、追い出されて別宅へ移動。

ただし、おきんの「その後」にはヒネリが利いていたのです。これまでも、おきんの趣味が読書であると何度か紹介されていたのですが、まさかこんな展開になるとは!「紫式部」を気取るおきんですが、そのままではすまないことは、既に予告されています。それにしても、一番すごいのは、浮気夫と妾の悪女たちを相手にして余裕綽々の正妻・お月なのかもしれません。