りぼんの読書ノート

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ドールマン(テイラー・スティーヴンス)

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前作インフォメーショニストで、「22ヵ国語を操り、男にも娼婦にも姿を変え、殺人すらも厭わない情報収集家」として颯爽とデビューしたヒロイン、ヴァネッサ・マイケル・マンローに新たな試練が襲いかかります。しかも、その試練は、彼女の生い立ちに関わる心の闇と深く結びついていたのです。

全米を揺るがす若き女優・ニーヴァの失踪事件。彼女は、「ドールマン」と名乗る現代の奴隷商人に「商品」として捕らえられていたのです。「心から大切に思う人」を人質に取られたマンローは、ニーヴァを「買い手」に届ける任務を命じられるのですが・・。

「ドールマン」の卑劣さやニーヴァの過去が、マンローの狂気に火をつけそうになる中で、どこまで耐え続けられるのか。もちろんヒロインは屈することなく、最後には立ち上がるのですが、本書は「ダブル・ヒロイン・ストーリー」でした。ニーヴァもまた、マンローとともに闘いの場に臨むのですから。彼女もまた幼女虐待の犠牲者だったのです。

ラストは衝撃的ですが、個人的には、そこまでして欲しくはなかったな。かなりニーヴァに感情移入していましたので。アメリカのミステリに贈られる「バリー賞」を2014年度に受賞した作品です。

2015/6