最近になって、沢木耕太郎さんの「私ノンフィクション」に惹かれるようになってきました。『深夜特急』だけの作家ではなかったのですね。『流星ひとつ』も良かったのですが、ただ1人の読者に向けて書かれた作品ですので、1位からは外しました。 朝井まかてさんも、また、1年前の直木賞受賞以来、注目するようになった作家です。
1.恋歌(朝井まかて)
樋口一葉や三宅花圃を教え育てた明治期の歌人・中島歌子には、幕末の水戸で体験した壮絶な過去があったのです。水戸藩士の若妻として、天狗党と諸生党の対立に巻き込まれて投獄され、死を間近に感じた歌子の手記には、「恩讐を超える仕掛け」が込められていました。強烈な印象と爽やかな読後感を残してくれる、直木賞受賞作品です。
樋口一葉や三宅花圃を教え育てた明治期の歌人・中島歌子には、幕末の水戸で体験した壮絶な過去があったのです。水戸藩士の若妻として、天狗党と諸生党の対立に巻き込まれて投獄され、死を間近に感じた歌子の手記には、「恩讐を超える仕掛け」が込められていました。強烈な印象と爽やかな読後感を残してくれる、直木賞受賞作品です。
2.流星ひとつ(沢木耕太郎)
歌手・藤圭子の引退に際してのロングインタビューをもとに構成された作品は、33年もの間封印されていました。その封印が解かれたのは、「母親が精神の病に苦しむ姿」しか知らないという娘・宇多田ヒカルさんに、「藤圭子という女性の精神の最も美しい瞬間」を知って欲しかったからだそうです。確かに、彼女の魅力を十分に引き出した作品となっています。
歌手・藤圭子の引退に際してのロングインタビューをもとに構成された作品は、33年もの間封印されていました。その封印が解かれたのは、「母親が精神の病に苦しむ姿」しか知らないという娘・宇多田ヒカルさんに、「藤圭子という女性の精神の最も美しい瞬間」を知って欲しかったからだそうです。確かに、彼女の魅力を十分に引き出した作品となっています。
3.紙の民(サルバドール・プラセンシア)
メキシコ移民のフェデリコは、なぜ悲劇に付きまとわれるのか。彼は、上空から全てを見て運命を左右する「土星=著者」対して戦いを挑みます。そこに関わる紙で作られた人々もまた、「作家の創造物」なのでしょう。「実験小説」的な作品なのですが、種々雑多なものたちが混然一体となって、喪失と失恋の悲しみに収斂されていく展開には、勢いを感じます。
メキシコ移民のフェデリコは、なぜ悲劇に付きまとわれるのか。彼は、上空から全てを見て運命を左右する「土星=著者」対して戦いを挑みます。そこに関わる紙で作られた人々もまた、「作家の創造物」なのでしょう。「実験小説」的な作品なのですが、種々雑多なものたちが混然一体となって、喪失と失恋の悲しみに収斂されていく展開には、勢いを感じます。
【その他今月読んだ本】
・水底フェスタ(辻村深月)
・ザ・サークル(デイヴ・エガーズ)
・桑港特急(山本一力)
・光の子供(エリック・フォトリノ)
・芙蓉の人(新田次郎)
・vN(マデリン・アシュビー)
・すかたん(朝井まかて)
・弥次喜多化かし道中(桑原水菜)
・岳飛伝 9(北方謙三)
・有り金をぶちこめ(ピーター・ドイル)
・阿蘭陀西鶴(朝井まかて)
・海峡を越えて(ジュリアン・バーンズ)
・オリンポスの神々と7人の英雄 4.ハデスの館(リック・リオーダン)
・岳飛伝 10(北方謙三)
・降霊会の夜(浅田次郎)
・本朝金瓶梅(林真理子)
・天冥の標8.ジャイアント・アーク〔PART1〕 (小川一水)
・天冥の標8.ジャイアント・アーク〔PART2〕 (小川一水)
・百寺巡礼 第4巻 滋賀・東海(五木寛之)
・獣の奏者1.闘蛇編(上橋菜穂子)
・水底フェスタ(辻村深月)
・ザ・サークル(デイヴ・エガーズ)
・桑港特急(山本一力)
・光の子供(エリック・フォトリノ)
・芙蓉の人(新田次郎)
・vN(マデリン・アシュビー)
・すかたん(朝井まかて)
・弥次喜多化かし道中(桑原水菜)
・岳飛伝 9(北方謙三)
・有り金をぶちこめ(ピーター・ドイル)
・阿蘭陀西鶴(朝井まかて)
・海峡を越えて(ジュリアン・バーンズ)
・オリンポスの神々と7人の英雄 4.ハデスの館(リック・リオーダン)
・岳飛伝 10(北方謙三)
・降霊会の夜(浅田次郎)
・本朝金瓶梅(林真理子)
・天冥の標8.ジャイアント・アーク〔PART1〕 (小川一水)
・天冥の標8.ジャイアント・アーク〔PART2〕 (小川一水)
・百寺巡礼 第4巻 滋賀・東海(五木寛之)
・獣の奏者1.闘蛇編(上橋菜穂子)
2015/5/30