りぼんの読書ノート

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獣の奏者1.闘蛇編(上橋菜穂子)

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『鹿の王』で昨年の「本屋大賞」を受賞した著者が、守り人シリーズに続いて著した長編シリーズです。「全4巻+外伝1巻」から成っていますので、「闘蛇編」はまだ、導入部にすぎません。それでも、壮大なハイ・ファンタジーの世界観が漂ってきます。

物語は、10歳の少女エリンが母ソヨンと死別する場面から始まります。戦闘用の凶暴な生き物である「闘蛇」を世話する医術師であったソヨンは、闘蛇がいっせいに死んだ責任を問われて罪に問われます。湖に投げ込んで野生の闘蛇に襲わせるという残虐な処刑が行われた際、母を救いたい一心で湖に飛び込んだエリンを救ったのは、母の指笛でした。

瀕死で岸辺に流れ着いたエリンを救ったのは蜂飼いのジョウン。かつて王都の教導師であったジョウンは、わが子のように育てたエリンの才能に気づき、女性に開かれていた数少ない職業である、王獣の医術師となる道を歩ませます。エリンはそこで傷ついた「王獣の雛」と出会い、介抱役をかってでるのですが・・。

エリンの物語の背景世界の説明が、ところどころに挿入されてきます。女系の真王家(現真王ハルミヤと孫娘セィミヤ)と、実権を持つ大公家(現大公オランと長男シュナン)の微妙な関係。ソヨンが属していたという「霧の民」の存在。そもそも「王獣」や「闘蛇」とは何なのか。

まだまだ謎も多い「世界の物語」が、エリンの「小さな物語」と交差するとき、物語がダイナミックに展開していくのでしょう。しかし、「講談社青い鳥文庫」で読み始めたのは失敗でした。「こども向け」なので、全部の漢字に仮名がふってある! 読みにくくて仕方ありません。

2015/5