りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2019/6 雲上雲下(朝井まかて)

いつどこにブログ移転をしたら良いのか、まだ決断がつきません。読書レビューを書いていても落ち着かない日々が続いています。
 
1.雲上雲下(朝井まかて)
深い山の中、自分の正体も忘れ去った巨大な草が、突然現れた子狐の依頼で物語を語り始めます。民話を題材にしたファンタジーですが、草や子狐や、途中から現れた山姥や小太郎の正体が判明していく中で、意外な地点に読者を誘ってくれるのです。「フィクションや想像の力を信じたい」と語る著者の代表作となりえる作品だと思います。

 

2.龍華記(澤田瞳子)
平家の繁栄が揺らぎ始めた平安末期。藤原の姓を持つ出自でありながら南都興福寺の悪僧となっている範長を視点人物として「仏心」の本質に迫った力作です。平重衡による南都焼討すら、人は許さないといけないのか。憎悪と復讐の連鎖は断ち切るのか。資料を読み込むほど「古代人と現代人の感情は変わらない」と語る著者による、興福寺中金堂の再建を記念して企画された作品です。

 

3.ディス・イズ・ザ・デイ(津村記久子)
「その日」とは、サッカーJ2リーグの最終日のこと。昇格や降格が決まる運命の日を迎えた22チームのサポーター22人の思いを綴った連作です。それぞれに生活を抱えながら、愛するチームの応援に没入する喜びが、郷土愛とか誇りという感情と混然一体となっていくことが、地元チームを愛する醍醐味ですね。
 
【その他今月読んだ本】
ソロモンの歌(トニ・モリスン)
秘録島原の乱(加藤廣)
チンギス紀 3(北方謙三)
悪玉伝(朝井まかて)
テンプル騎士団(佐藤賢一)
ミッテランの帽子(アントワーヌ・ローラン)
文字禍(円城塔)
ユニコーン(原田マハ)
ドッグマザー(古川日出男)
天冥の標10.青葉よ豊かなれ Part 1(小川一水)
烙印(パトリシア・コーンウェル)
書店ガール7(碧野圭)
コンビニ人間(村田紗耶香)
破蕾(冲方丁)
生まれ変わり(ケン・リュウ)
数学者たちの楽園(サイモン・シン)
三国志 外伝(宮城谷昌光)
タンデム(パトリス・ルコント)
マルドゥック・アノニマス 4(冲方丁)
パーマネント神喜劇(万城目学)
風と行く者(上橋菜穂子)
プレイバック(レイモンド・チャンドラー)
 
2019/6/30