『第1部』のラストで、元亭主の弟・武松(たけまつ)に命を狙われたことを逆手にとって、ライバルおりんを殺害させてしまったおきんは、向島の田舎で謹慎生活。もちろん諸々を我慢できなくなって、出かけた浅草で偶然、武松に遭遇。互いに偽名を名乗り合って、相手の正体に気づかぬまま、互いに惹かれ始めたのですが・・。こちらの武松(たけまさ)は、『水滸伝』の武松ほど強くはなかったようです。
さて、一方の慶左衛門。さる小藩の殿様の妾としてお世話した少女の母親・お六と深い仲になってしまいました。このお六が、おきんの上をゆく悪女だったのですから、たまりません。殿様のお手付きとなって身籠った娘が死産した際に、身代わりの赤ちゃんを立ててしまったのですから、バレからお手打ちもの。
怖気づいた慶左衛門は、自慢のものが役に立たなくなってしまう始末。噂の強壮剤を手に入れるため、お伊勢参りにかこつけて女ふたりと旅に出ることにしたのですが・・。「旅の恥はかきすて」とは、よく言ったもの。宿場女郎、陰間、旅役者、女按摩、女敵討ちの旅人など、オールスターが勢揃いなのですが、肝心の慶左衛門は復活できるのでしょうか。
「ハマグリの賭け」の結果が出る前という中途半端なところで、本書は終了。『西国漫遊篇』に続きます。
2015/6