異星人カルミアンの超絶テクノロジーによって、たちまち地球を征服したプラクティスですが、問題は山積みです。人体改造の代償として生殖能力を失い(女王的存在であるイサリとミヒロの姉妹は別)、凶暴な「咀嚼者(フェロシアン)」に転落していく兆候を見せ始め、これまで共闘してきたラバーズも去っていきます。
内部でも、未感染者(すなわち人類の大部分)との共存を望むイサリと、純化した憎しみをストレートにぶつけるだけのミヒロの対立がはっきりしてきます。主導権を握ったミヒロは、一閃のもとにプラクティス艦隊を葬ったドロテア・ワットに向かって共闘を呼び掛け、さらにはウィルスの全面開放へと踏み出すのですが、それは人類滅亡への道筋にほかなりません。
対するノルルスカインは、羊飼いの少女を経由して、ついに人類に自らの存在を明かしました。両者の協力関係がもたらしたささやかな勝利は、人類を滅亡から救えるのでしょうか。
滅亡戦争を戦い合ってはいても、プラクティスとロイズはどちらも、展開体ミスチフの影響下にある者同士だったのですね。『Part 1』と『Part 2』では混沌としていた勢力関係が、ここにきて収束しはじめています。
この巻から300年後にあたる『第1巻』に登場する勢力や祖先たち(一部は本人?)も、概ね出揃いました。ほとんど滅亡寸前になってしまった人類に、このあと「恒星間植民時代」など、本当に到来するのでしょうか。そもそも「メニー・メニー・シープ」とは、どの惑星なのでしょうか。「全10巻くらい」といいますから、まだまだ大きな転機はやってきそうです。
2014/12