りぼんの読書ノート

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天冥の標9.ヒトであるヒトとないヒトと Part 2(小川一水)

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全10巻の大構想で書き始められた物語も、第9巻まで進みました。通常「ラス前」というものは、思いっきり物語を広げるものですが、この作品も例外ではありません。

わずか180万人の生き残りの人類を乗せた方舟のような惑星セレスは、宇宙空間を疾走しています。セレスが向かう先は、ほとんど神の視点を有する宇宙的展開体が闘う最前線。多様な生命活動を肯定するノルルスカインに支援された勢力と、宇宙全体のエントロピーを下げてしまうミスチフ=オムニフロラが、激しい戦闘を繰り広げていたのです。

セレス内で数少ない人類が争っている場合ではないことに気付いた、医師団のカドム、宇宙軍のアクリラ、救世群のイサリは、それぞれ自軍に戻って宥和の道を模索します。カドムとアクリラは、メニー・メニー・シープの新政府大統領エランカの説得に成功するものの、イサリは実妹のミヒロと対決しなくてはなりません。しかもミヒロはミスチフの影響を受けているのです。

ノルルスカインの分身と対話できる羊飼いの少年ゴフリのエピソードは癒し系。集団を形成して超高度な知性を取り戻そうとしているカンミアのクルミは繁殖のための雄を見つけそうですが、母星は大変なことになっています。さまざまに姿を変えた人類の架け橋となるカドムは、実際にアクリラやイサリと三角関係になってしまったのでしょうか。BL系のアクリラとの関係はまだ理解可能ですが、イサリの外観はほとんど昆虫なのに・・。

さあ、最終の第10巻での大団円を待ちましょう。おそらく、何分冊かが順次発売になるのでしょうが。

2017/2