りぼんの読書ノート

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インド式マリッジブルー(バリ・ライ)

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イングランドの地方都市レスターに住む13歳のマニーの親友は黒人、ガールフレンドは白人、将来の夢はサッカー選手かミュージシャンか小説家。学校の成績だって悪くない。それでも父親からは「まともになれ」と殴られる。マニーは、閉鎖的で自分たちの伝統文化以外の価値を認めないインド移民二世だったのです。あげくの果てに、17歳の誕生日に見ず知らずのパンジャブ娘と結婚することを決められてしまったマニーは、どうしたら良いのでしょう。

訳者の後書きを読むと、イギリスの移民社会では、親が決めた結婚を強制されるケースが問題になっているとのこと。本人同志の了解がない場合には「違法」となるとのことですが、今でもこういう問題が起きているのですね。市民権や永住権の取得も絡んでいるので、問題は根深そうです。

物語の途中で、舞台はインドへと移ります。家族の里帰りで訪れた故郷に、ただ一人で置き去りにされるというお仕置きを受けたマニーは、牧歌的なインドが抱えている問題にも気づくのですが、彼を救い出してくれたのは、一族の異端児で自由奔放に生きているジャグおじさんでした。

そこから、ラストの「脱出作戦」までは一気ですが、果たしてそれは正解だったのかどうか。かなり微妙な気もするのですが、それはその後のマニーの生き方次第なのでしょう。ひとつだけ違和感が残ったのは、ガールフレンドの家族が理解良すぎることなのですが、これって普通のことなのでしょうか。

2014/12