りぼんの読書ノート

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カリオストロの復讐(モーリス・ルブラン)

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50歳に近づいたルパンの最後の冒険の相手は、20歳のときの最初の冒険のときと同じく「カリオストロ伯爵夫人」でした。といっても伯爵夫人ことジョゼフィーヌバルサモは既に亡くなっており、ルパンを最後まで苦しめたのは彼女が遺した呪いの言葉だったのです。

物語は、偶然出会った資産家の大金を巻き上げようとしたルパンが、パリ近郊に別荘を買ったことから始まります。資産家の美しい姪エリザベートが殺害され、犯人を射殺した婚約者ジェロームも怪我をするという事件に絡んできたのは、ルパンが知り合いから紹介してもらった青年建築技師のフェリシアンでした。しかもフェリシアンと付き合い始めたエリザベートの妹ロランドが、今度はジェロームとの結婚を言い出すのですから驚きます。

事件の真相を突き止めようとするルパンが探り出したのは、フェリシアンこそ幼少時に誘拐されたルパンの息子という驚愕の事実。しかもフェリシアンの養い親には「息子を泥棒か殺人者に育て上げ、父親と対決させよ」というカリオストロ伯爵夫人の手紙が預けられていたというのですから。はからずも怪しい振る舞いに及ぶフェリシアン。果たして彼女の呪いは実現してしまったのでしょうか。これまで女性関係で悩んできたルパンが親子関係で悩むというのは、因果応報のような気もするのですが・・。

女の恨みは怖ろしい・・。カリオストロ伯爵夫人の呪いはもちろんのこと、ロランドの行動だってかなりのものですね。それにはさすがのルパンも騙されてしまうのですから。

今年の2月から読んできた「ルパン・シリーズ」も、この作品で読み納めといったところでしょうか。さすがに全集を読破とまでは思いませんので、「傑作集10冊+4冊」も読めば十分でしょう。

2013/6