りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

Anego(林真理子)

イメージ 1

篠原涼子さん主演でドラマ化された小説です。ドラマは見ていませんが、こちらはかなり怖い内容ですから、違う主題になっているのではないでしょうか。

「現代OL事情」的な前半は、一般職女性の採用を中止して派遣社員へと切り替えが進む大企業という「現場」を取材して書いたのでしょう。本書の主人公は32歳ですが、正社員一般職のほとんど最後の世代。

独身のまま会社に残ってしまった女性たちは、もとより出世の望みもなく、仕事のプライドも男性の関心も「ハケンさん」に奪われ、責任だけは重く、冷静に考えれば考えるほど先が見えない状態。

今はまだ颯爽として、洗練されていて、後輩からも慕われる「アネゴ」と言われるけれど、もうすぐ「お局」となってしまう焦りが出始める年齢。申し訳ないけど、本書の主人公の世代の方々の現在を見ると、その通りになっているのです。

ところが主人公が不倫を始めた瞬間に、物語は闇の中に突入するのです。人も羨む結婚退職をしたはずの後輩から夫婦仲について相談をもちこまれ、精神を病んだかのような後輩女性の世話を焼いているうちに、夫と不倫。

この夫が一見「いい男」で、妻との離婚を確約してくれ、泥沼状態から抜け出すのも近い・・と思いきや、その真実はとんでもない男性。そこまでならよくある話ですが、不倫男に見切りをつけて新たな出発・・というところで、事件が起こります。そして・・。

「恋愛ホラー」という紹介文は嘘ではありません。不倫女を絶対に幸福にしない「人妻」林さんらしい作品です(怖)。

2011/10