りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ロンリネス(桐野夏生)

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東京湾岸のタワーマンションに住む子育て期ママたちの実像を描いたハピネスの続編です。前作では最上級家庭の夫と最底辺の美人ママ・洋子の不倫が、「ママ・カースト制度」をぶち壊していく過程が楽しかったのですが、やはり不倫は周囲を傷つけます。

この2人は本気になりすぎちゃったのですね。男は少々引き気味に見えるものの、パワフルな洋子は周囲も自分も傷つけまくりながらも愛を全うしようとするのです。夫との離婚、娘の親権はく奪、親からの勘当、相手の家族の破壊、さらには望まれない妊娠などが彼女を待ち受けているのですが、彼女はもう止まることができません。

実は本書の主人公は破壊力抜群の洋子ではなく、彼女の唯一の親友である有紗です。アメリカ赴任中の浮気が嵩じて一時は離婚話まで持ち出した夫との関係は修復に向かっているものの、夫の実家との関係や、娘のお受験問題など、依然としてぎくしゃくしています。そんな中で有紗もまた、同じマンションに住む男性に惹かれていくのですが・・。

有紗がダメ妻でダメママすぎますね。タワマンに住む財力などないのに虚飾の世界に惹かれ、内心は彼女を蔑んでいるハイソなママ友たちとの関係にも浮かれ、親友の洋子の激しさにも引いてしまう。おまけに自分の恋心を抑えようとしながらも、ダメ男の強引さに振り回されてゆくのです。主人公が中途半端すぎるせいで、物語全体のドロドロ感も薄まってしまったようです。

2019/3