りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

僕僕先生5 先生の隠しごと(仁木英之)

イメージ 1

「僕僕先生シリーズ」の第5作目となります。

前巻さびしい女神で、神話時代の黄帝炎帝大戦争が紹介されていましたが、黄帝の最終兵器「魃(ばつ)」のライバルであった炎帝の最終兵器「雷娘」こそが、やはり「僕僕先生」の正体だったようです。

遠い南の辺境で甦った「魃」を鎮めた僕僕先生や王弁たちの一行が次に訪れたのは、理想郷建設を唱える若きカリスマ、ラクスが支配する辺境の地でした。

どうもこの理想郷、建前と違うところも沢山あるようで、かなり胡散臭いのですが、あろうことか、ラクスにプロポーズされた僕僕先生はこれを受けてしまいます。「雷娘」時代の戦友であり恋人であった「拠比」と共通するものをラクスに感じて、乙女心がキュンキュンしちゃったようなのです。

僕僕先生に恋している王弁クンは大ショック。ラクスが隠そうとしている「理想郷の暗部」を嗅ぎまわり、かえって窮地に陥ってしまうのですが・・。

シリーズのメインテーマは王弁クンの成長物語ですが、神話味代に遡る僕僕先生の正体をめぐる謎と、大唐帝国と辺境蛮族の問題とが相俟って、物語に深みを与えてくれつつあるように思います。今後もこの路線でいくんでしょうね。

2011/9