りぼんの読書ノート

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ストーリー・セラー(有川浩)

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雑誌「Story Seller」に発表された同名の小説を「Side:A」とし、それと対をなす「Side:B」を加えて刊行された単行本です。どちらの作品にも、著者の分身と思われる女性小説家が登場し、彼女のファンだという男性と出会って結ばれ、2人で支え合って生きていくものの、突然の悲劇に襲われるという物語。男性のモデルは著者の夫君のようで、まるで作家から夫に宛てたラブレターのようにも読めるのです。

「Side:A」の語り手は男性で、死病に襲われるのは女性小説家。
「Side:B」の語り手は女性小説家で、死病に襲われるのは男性のほう。
でもどちらも同じ小説ですね。連れ合いを失うことはどちらにとっても悲劇なのですから。

死病という少々あざとい設定は、問題にする必要はないでしょう。夫婦の情愛の濃さと細やかさを読みとるべき小説だと思います。

2011/9