りぼんの読書ノート

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ダルタニャン物語 ③我は王軍、友は叛軍(アレクサンドル・デュマ)

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第一部三銃士に続く『二十年後』は、フロンドの乱に揺れるパリで始まります。かつては銃士隊の仇敵であった大政治家リシュリューは既に亡く、薄幸の王妃であったアンヌ・ドートリッシュは幼いルイ14世の母として摂政となり、マザランを起用して重税政策をとったために、貴族層からの反発を招いています。

マザランに起用された銃士隊副隊長ダルタニャンは、既に引退していた旧友の三銃士を尋ねて回りますが、一緒についてきてくれたのは男爵の爵位に釣られたポルトスだけ。それもそのはず、伯爵領に戻って息子ラウルの教育に情熱を注ぎ込んでいるアトスも、神父となりながら不倫をやめられないアラミスも、反マザラン派だったのです。

ダルタニャンとポルトスがマザランと謁見している時に届いたのは、マザランによって幽閉されていた、反乱貴族の中心人物アンリ4世の孫ボーフォール公脱獄の知らせ。さっそくボーフォール公を連れ戻しに乗り出した2人ですが、護衛の剣士に邪魔されて不首尾に終わります。それもそのはず、ボーフォール公を護衛するのは、アトスとアラミスだったんですね。完全に敵味方の立場に分かれてしまった4人の友情は果たして・・。

かつての青年剣士ダルタニャンも既に40歳。最年長のアトスは50歳で、皆完全に中年親父であり、息子や爵位を気にかけるなど、年相応の問題を抱えているのですが、4人揃うと若返る感じです。これって会社の同期で集まると、いくつになっても昔の気持ちに戻るのと一緒かな。

高邁な精神を持つアトス、豪放磊落に見えて意外と小心なポルトス、常に冷静沈着で相変わらず女性にもてるアラミスと、三銃士のキャラが第一部よりも書き分けられているように思えます。

2011/8