四銃士の活躍の舞台は、清教徒革命の嵐が吹き荒れるイギリスへと向かいます。そのきっかけとなったのは、妖女ミラディーの息子で、今はクロムウェルの副官となっている修道僧モードント。彼は、クロムウェルの使いとしてマザランを訪問し、フランスが英国王チャールズ1世を援助しないように要請してきたのです。マザランの命を受けて、クロムウェルのもとへと向かうダルタニャンとポルトス。
一方、アトスとアラミスは、故国フランスに亡命中のチャールズ1世の王妃から夫の英国王を守るよう依頼され、旧友のウィンター卿とともに渡英。四銃士は、スコットランドの戦場で、敵味方に別れて剣を交えることに・・。
本巻では、フロンドの乱の転換点となった、ルイ14世のパリ脱出も描かれます。フロンド派の代表ブルッセルの逮捕をきっかけに民衆が蜂起し、当時10歳のルイ14世の寝室まで侵入した事件とそれに続くパリ脱出の陰で、ダルタニャンが活躍していたんですね。^^
このシリーズは、「楽しめる物語の原点」を見るようです。四銃士の友情を横軸にしながら、運命によって敵味方に別れさせて劇的な状況に追い込み、彼らに深い恨みを抱くモードントという悪役を配して困難を倍増させ、アトスの息子ラウルを登場させることによって、次の世代への期待を抱かせる! さすが「大デュマ」です。
2011/8