りぼんの読書ノート

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三銃士の息子(カミ)

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ダルタニャンの機知、アトスの気高さ、ポルトスの精力を一身に受け継いでいる「三銃士の息子」。アラミスがいないのはとりあえず無視しましょう。3人の遺伝子を同時に受け継ぐという離れ業も可能としましょう。稲妻を切り落とすほどの腕を持っているのですからね。

地方で養育されて20歳となった三銃士の息子が、父親たちの後を継いで銃士となるべく、パリに登場。時は1680年。三銃士たちは既に亡く、当時の関係者で唯一存命しているプランシェ(ダルタニャンの従者)の食料品店を訪ねる途中で、悪漢に狙われていた娘を救出。

その娘は、プランシェの養女ブランシュ=ミニョンヌでした。18歳を迎えて非業の死を遂げた母親の遺言を聞いた娘と、彼女に惚れた三銃士の息子は、敵討ちを約束。実は娘に目をつけて悪漢に誘拐させようとしたのも母親の敵と同一人物、トリスタン・ド・マカブルー公爵だったのです。

2人は滑稽な従者たちや羊と犬のハーフの番羊を引き連れ、母親をめぐる事件のカギを握る人道的闘牛士キュウリモミータを尋ねて、スペインへ向かいます。ラ・フォンテーヌが特別出演し、「鉄仮面」が重要な役割を演じ、一時は絶体絶命の窮地に陥った娘を奇想天外な方法で救出し、バスチーユ牢獄もこれまた奇想天外な方法で脱獄。著者の本領発揮となる中でハッピーエンドを迎えるのですが、「鉄仮面」だけは気の毒でした。

フランス語の駄洒落満載だそうですから、訳者は困ったでしょうね。さすがに全部は翻訳しきれなかったとのこと。そのかわりに「著者が日本語を知っていたら駄洒落を入れたに違いない」という箇所は作っちゃったそうですから、駄洒落に関する部分はもはや「超訳」ですね。

ダルタニャン物語を読んでいなくても問題ありませんが、もちろん知っていたほうが楽しめます。

2014/9