りぼんの読書ノート

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岳飛伝 7(北方謙三)

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南宋、金国、梁山泊三者は、互いに講和を結んでいるものの、平和な状態はかりそめの姿にすぎないと理解しています。やがて来る戦闘への準備を怠るわけにはいかないのですが、それは単なる軍備増強ではありません。最終的には、国家の総合力が問われてくるのです。

梁山泊は、統括・宣凱と軍総帥・呼延凌のもとで貿易を発展させています。西では韓成が土里緒の部族を西遼に帰属させ、東では張朔が藤原秀衡と交友を深め、南では秦容が開いたメコン河口の居留地が「小梁山」として発展。また新たな交易担当者として、岳家軍の兵站を支援していた梁興を迎え入れます。

一方で、大理から越南経由でメコン上流に居を構えた岳飛は、梁山泊の協力を受け入れて、少数ながら岳家軍を再興しつつあります。岳飛が再び世に出ることはあるのでしょうか。そしてその時は、梁山泊南宋と金国から挟撃される非常事態なのでしょうか。

南宋では、韓世忠の水軍が力をつけてきています。韓世忠の妻となった梁紅玉は、秦槽から命じられて、商人として日本との交易に乗り出しますが、彼女は捨石なのかもしれません。両陣営の水軍に決戦のときが近づいているようです。長らく身を潜めていた青蓮寺を率いる李師師の執念も不気味です。

金国では、優れた見識を持つ蕭炫材が物流を伸ばしていますが、皇太子である海陵王が、未熟さと暴虐さを見せ始めています。史実では、無謀な南宋進攻を企てて失敗し、帝位から廃されて殺害された人物なのですが、このシリーズではどのような役割を果たすことになるのでしょう。次の大きな展開の幕を開ける人物となるのかもしれません。

宣凱が、朱貴・朱富兄弟の姪で、本塞近くで飯店を開いていた朱杏と結婚。その一方で、第一世代の史進や孫二娘は老いてきています。孫二娘が70歳になっているというのには驚きましたね。色っぽい人妻というイメージしかありませんでしたので。

2014/9