りぼんの読書ノート

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ダルタニャン物語 ⑦ノートル・ダムの居酒屋(アレクサンドル・デュマ)

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宰相マザラン亡き後、ルイ14世はコルベールを財務官に、ダルタニャンを銃士隊長に起用して、自ら国務を執り始めます。復帰したダルタニャンに下った最初の密命は、不穏な動きを見せる財務卿フーケの所領を偵察することでした。

ブルターニュにあるベル・イール島に上陸したダルタニャンは意外な人物と出会います。なんとポルトスが島を要塞化する工事の指揮を執っていたんですね。人のいいポルトスは利用されているだけで、要塞の設計者はフーケ領ヴァンヌで司教となっていたアラミスでした。旧友たちとの再会を祝して飲み明かすダルタニャンですが、立場が別れてしまったことに気づかざるを得ません。

翌朝、ダルタニャンはフーケの陰謀を国王に報告すべく馬を駆りますが、アラミスは先手を取ってフーケに急を告げ、国王に要塞を献上させて事なきを得るのでした。しかしフーケの資金源であった腹心の徴税官たちを処刑した上で、王室への資金献上を求めるコルベールの策略は、次第にフーケを追い詰めていきます。

一方で、ルイ14世の王室で進行するのは全く別の闘い。台風の目は、王弟フィリップに嫁いできたイングランド国王の妹アンリエット。かつての薄幸の美少女は愛情を捧げられる喜びを覚えて、男心を弄ぶ危険なゲームを始めるのです。

太后アンヌのかつての恋人の息子バッキンガム公爵に、ラウルの親友のギース伯爵、さらにはルイ14世までもがアンリエットに惹かれてしまうのですから、夫フィリップが嫉妬に苛まれるのは当然のこと。そして「ブラジュロンヌ子爵」こと、アトスの息子・ラウルは、幼馴染みの恋人ルイズに求婚し、国王に許可を求めるのですが、彼女の家柄が見劣りすることを理由に保留されてしまいます。これが後の悲劇に繋がるとは・・。

以前は、立場が別れることはあっても心は通じ合っていた四銃士の関係に、ヒビが入ってしまったようです。念願の銃士隊長に就任したダルタニャンが、厳しい表情にならざるを得ないのは悲しいですね。

2011/9