りぼんの読書ノート

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ダルタニャン物語 ⑩鉄仮面(アレクサンドル・デュマ)

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いよいよ「第3部」のクライマックス。権力をもぎ取られようとしているフーケは、ルイ14世の歓心を買うために、破産覚悟で自身の居城に国王を招いて園遊会を催します。この機会を狙って進行するアラミスの大陰謀!

太后アンヌのみが知るフランス王室の大秘事とは、ルイ14世に双子の兄弟がいたということでした。太后は王弟フィリップは事故死したと信じさせられていましたが、バスチーユ牢獄に監禁されていたのです。

イエズス会管区長の権限を利用してバスチーユから王弟フィリップを連れ出したアラミスは、フィリップに決断を迫ります。兄と入れ替わって国王となるのか。それとも片田舎で一生静かに暮らすのか。そしてアラミスは、自分自身はローマ法王となるとの野望を明かすのです。

ルイズとの恋愛にうつつを抜かして、国王を諌めたアトスまで逮捕してしまったルイ14世よりも、これまで自分の出生も知らされることもないまま、運命を従容と受け入れていたフィリップの方が人格的に優れていますね。命がけで君主の道を説いたダルタニャンのおかげでアトスは釈放されますが、陰謀が成功したほうがいいのかも・・。

アラミスの陰謀の成否は、最終巻『剣よ、さらば』に持ち越されます。映画「仮面の男」では、ダルタニャンは国王交替を黙認しちゃうんですけどね。

2011/9