りぼんの読書ノート

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ダルタニャン物語 ⑧華麗なる饗宴(アレクサンドル・デュマ)

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ルイ14世が「太陽王」と呼ばれるようになったのは、莫大な金額を財務卿のフーケに用立てさせて開催した、フォンテーヌブローでの大饗宴からのこと。国王自ら「四季」のバレエを披露するなど、連日連夜繰り広げられた饗宴の陰で、危険な恋愛ゲームが繰り広げられていきます。

国王の心を虜にした王弟妃アンリエットですが、彼女もまた自ら作り上げた陥穽に落ち込んでしまいます。国王との関係をカムフラージュするために使った王弟妃の侍女ルイズに国王の心が引き寄せられてしまうんですね。もちろん国王は、ルイズがラウルの婚約者であることなどは覚えていません。しかも、ルイズも国王を愛している模様なので、これは大問題!フォンテーヌブローで語られる「泉の女神の物語」や「森の女神の物語」は、単なる恋愛話ではありません。快楽の追求が権力の追及と重なっていく、フランス・ロココの甘美な毒が含まれているようです。

一方で、アラミスの恐るべき陰謀が進行していきます。バスチーユ監獄に収監されている、国王と同じ顔をしているという謎の囚人と面会を果たして驚くべき「秘事」を探り出し、その情報をもとに、イエズス会の管区長に指名を得てとてつもない権力と財力を手にするのですが、果たして彼は何をたくらんでいるのでしょうか・・。

宮廷での恋愛物語部分は少々くどいのですが、宮廷に権力が集中していく中で、恋愛と権力の争いが絡まりあうフレンチ・ロココを描くには必要な部分なのかもしれませんね。

2011/9