りぼんの読書ノート

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ダルタニャン物語 ⑤復讐鬼(アレクサンドル・デュマ)

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物語は佳境へと進んでいきます。イギリスの戦場でアトスやアラミスと敵味方に別れて闘ったものの、クロムウェルに捉えられたチャールズ1世を救出するために、ダルタニャンはマザランの命令に背く決意をします。

捨て身の救出劇を演じる四銃士ですが、そこは史実を曲げるわけにはいきません。運命のいたずらが四銃士の奮闘を無に帰して、チャールズ1世は断頭台の露に・・。そして、復讐鬼と化したモードントと決着をつける時がやってきます。英仏海峡で爆発する稲妻号!

ここまで、四銃士の従者たちについては触れませんでしたが、それぞれ名脇役として主人とともに大活躍していますので、ひとりずつ紹介しておきましょう。

退役後パリで菓子屋を営んでいるダルタニャンの従者・ブランシェは、フロンド派の市民兵士官として活躍しますが、ダルタニャンには心服しているため、両派の和解をはかるためのキーパーソン的な役割を果たします。

アトスの従者・グリモーは相変わらず無口ですが、アトスの命でボールフォール公爵の脱走を手助けするなど、これまた大活躍。

ポルトスの従者・ムースクトンは太ってしまい、身体を張った活劇は無理のようですが、ポルトスが相続した領地を仕切って、領民から尊敬される人物になっているんですね。

主人よりも信心深いアラミスの従者・バザンは、主人を再び銃士に誘うダルタニャンを嫌っているのですが、司祭の間では顔が利くようで、それなりに役に立っています。

物語に戻ります。パリに戻ってきた四銃士は、命令違反に怒るマザランと、フロンドの乱の終幕に立ち会うことになります。ダルタニャンはマザランを罠にかけ、太后アンヌを説得し、宮廷を反乱貴族やパリ市民と和解させることになりますが、最後にまた犠牲者も・・。

反乱貴族たちとパリ市民の間には利害の対立があり、貴族たちの要求もそれぞれなので、フロンドの乱は内部分裂していくのですが、ルイ14世が絶対王権を確立するまではあと10年の年月が必要。このあたりは第三部で描かれるのでしょう。

2011/8