りぼんの読書ノート

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女子芸人(神田茜)

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現役講談師による、女芸人「平(たいら)の琴音」の成長と挫折の物語。三浦しをんさんの審査による「新潮エンターテイメント大賞」受賞作です。基本的には男社会である「お笑いの世界」で、芸にも恋にも友情にも悩みながら生きていく「女子芸人」の成長物語。

著者自身が講談師であるからでしょう、結婚式の司会や、通販番組でのコントや、屋形船での宴会進行など、「副業」をこなしながらの日々の生活はリアルでしたし、 師匠のコピーにとどまるのか、個性を出していくのかの芸の悩みや、妹弟子のみゆきとの微妙な関係や、普段は愛想ないけど弟子のことはちゃんと見ている師匠の姿なども、真に迫っているように感じました。

ただ肝心のネタの部分が、あまり面白くなかったんです。相方の容貌ネタでは「今いくよ・くるよ」の「古典芸」には遠く及んでいませんし、自虐ネタでも「いとうあさこ」のほうが遥かに真に迫っている。冒頭に並べた、とんでもない結婚式の司会と、芸人仲間に救われた葬式の司会の2つのエピソードは良かったんですけどね。

「女芸人」の活躍も目立つようになってきましたが、お笑い界は基本的に男社会。「女子芸人」というタイトルには、安直なウケを目指さすことなく、芸を磨いて男社会の中で生きていくという著者の真剣な姿勢を感じたのですが・・。

2011/4