りぼんの読書ノート

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風にもまけず粗茶一服(松村栄子)

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茶道小説雨にも負けず粗茶一服の続編です。武家茶道坂東巴流の家元の長男として生まれた友衛遊馬が、自分の将来に疑問を感じて旅立ったものの、本家筋にあたる京都巴流宗家の人々たちと縁あって交流したことから、再び茶道に引き寄せられたところまでが前作のお話。

本書では、茶の湯に目覚めた友衛遊馬の修行が描かれます。比叡山の天鏡院に棲む紫門老師に弟子入りしたものの、お茶嫌いの老師にこき使われ、食べ物にも事欠くありさまで、茶道とは縁遠くなるばかりの毎日。でも遊馬はそこで、かつて京都巴流の番頭だった宣さんと出会います。彼は、京都巴流の後継ぎだった比呂希の死に責任を感じて、比叡山に死に場所を求め、野人のような生活をしていたのです。

東京で遊馬の養育係であった武藤弥一老人の孫娘・カンナの縁談や、「三十三間堂での通し矢」や「比叡山での山賊茶会」などのエピソードが描かれますが、武道と茶道が交差する「武家茶道」というものは、わけわからないけど奥が深そう。

茶の湯を理解し始めたといっても、まだ19歳の遊馬ですから、家元を継ぐという人生を決めてしまうような決断に至るには、まだまだ紆余曲折がありそうです。京都から東京の大学に入ったガールフレンドの桂木佐保ちゃんが友衛流に入門したり、外堀は埋められてきているんですけどね。^^

ともあれ、珍しい「青春茶道シリーズ」ですから、遊馬の成長を描く続編があってもいいのでは? たぶん、読みます。^^

2011/4