りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

雨にもまけず粗茶一服(松村栄子)

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京都の大学に行かされるのが嫌で家出した、東京の茶道家元の長男。ところが家出して行き着いた先は京都。そこで思いがけずも「茶人たち」と交流して「茶の心」に通じる体験をしてしまった結果、修行を決意するというお話。一種の「貴種流離譚」なのでしょう。

茶の心とは、もてなしの心(かな?)。茶人とはいえ、人の思いは人それぞれ。無の境地に至ることだけを目的にしている訳でもない。お作法も重要だし、お道具だって重要。でも行き過ぎては嫌味だし、お金もからんでくる。ネズミ講みたいな日本の「家元制」は、やっぱりどこかおかしいよ。

生まれた時から「義務」のある人は、ある意味気の毒だけど、何の権利もない人がほとんどの中で、ぜいたく言ってはいけません。持ってる人が、捨てるかどうかの悩みなんて、どうでもいいじゃん・・などと、ハングリーな私は思うのでした。(笑)

だから、この本の登場人物の中では、中学生ながらしたたかな次男に共感を覚えてしまうのです。この展開は、途中で読めちゃったけどね。でも、面白かったですよ。

2005/1