りぼんの読書ノート

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フリーター、家を買う。(有川浩)

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ドラマは見てませんでしたが、二宮クンや、香里菜や、竹中直人や、大友康平などの出演者が番宣に出まくってましたので、登場人物のイメージが出来てしまいました。「自衛隊三部作」や「図書館シリーズ」の著者による「社会派物語」がどんなものか、興味を持って読んだのですが、期待値は超えていたかも・・。

前半は「YA調の池井戸潤」、後半は「得意のラブコメ」なんですね。せっかく就職した会社を3ヶ月でやめ、再就職もままならず、バイトすらクビになる、自尊心が高いだけのダメ人間の主人公が、母親が鬱病に罹ったことで一念発起。

有川さんのことですから「家族崩壊」で終わるはずはありません。自分のダメさ加減と家族関係を見つめ直して、今まで逃げていた父親と対決、後には部分的に再評価して関係修復、キツイ土木工事のバイトにも耐えながら、就職活動を本気で再開。社会の厳しさと真剣に向き合えば、理解者だって現れる。そして、恋人候補だって・・。^^

一部不自然に思える設定も、ホワイトカラー正社員偏重の視点も、都合の良すぎる後半の展開も、気にしてはいけません。この本は、「中流家庭」の夢を追う「ファンタジー」なのです。ただタイトルはどうなんでしょう。家を買ったのは「フリーター」ではありませんから・・。

2011/3