りぼんの読書ノート

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星に願いを(林真理子)

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コピーライターからエッセイストを経て小説家になった林真理子さんの小説デビュー作であり、自伝的な作品です。後にドラマ化もされました。

就職試験に悉く失敗した冴えない女子大生キリコは、男にも相手にされず、ほとんど「負け犬」状態。生活のために就いたバイト的な仕事に満足してしまいそうにもなるのですが、一念発起してコピーライターを目指します。

もちろんシンデレラへの道は茨の道。やっと入社した一流事務所は、好きになった男性を追い回す自分の姿に嫌気がさしてしまって退職。三流事務所でスーパーのチラシを作る怠惰な仕事をしながら、ダメ男と擬似恋愛をして半同棲という転落の日々に落ち込んでしまいますが、それで終わってしまうようでは現在の林真理子はありません。

再度の挑戦でコピーライターとして成功し、エッセイの面白さが評判になり、ついには出版にまでこぎつけて世間の話題となるのです。これが『ルンルンを買っておうちに帰ろう』なんですね。「ねたみ、そねみ、嫉妬」が渦巻く心情をあけすけに顕した本のハシリです。その種の本は苦手なのですが、とにかく作家・林真理子の原点はそこにあるのです。小説の形を取ったとはいえ、本書もその延長線上にある作品ということ。当時は新鮮だったのかも・・。

ともあれ、シンデレラになれるのは、清純な乙女ばかりではないということなのでしょう。^^

2012/10