全19巻の『水滸伝』から続く、長い長いシリーズがついに完結しました。思えば、好漢・豪傑による自然発生的な反乱に過ぎないオリジナルの「水滸伝」を、経済的な裏づけのある組織された革命軍と体制内改革を目指す国家との戦いとして再構成した「前シリーズ」から、時代に先駆けて市場経済国家の創出の夢を追った「本シリーズ」にかけて、長い間、楽しませていただきました。
当初の108星は、もはや数えるほどしか残っていません。今また武松、公孫勝、宣賛、段景住、蒋啓、蔡福らが命を落とし、花飛麟や張平ら若い世代の武将も、さらには長年の仇敵であった青蓮寺の李冨も消えていきます。
孤立しながらも、楊令軍の異次元の強さは両軍の挟撃をものともしません。しかし、ついに「替天行道」を全土に広めて、時代を進める理想の実現も目前に! というところで「つまらないこと」が起きてしまうのです。
このエンディングには、賛否両論あるでしょう。歴史を題材とした小説としては、やむをえないのかもしれません。後に関羽とならんで祀られるほどの存在となる、南宋の悲劇の英雄・岳飛のことをここで消してしまうわけにもいきませんしね。
次の作品は、その『岳飛伝』とのこと。岳飛の「尽忠報国」は、「替天行道」の理想と重なっていくのでしょうか。そして、梁山泊のメンバーは登場するのでしょうか。もう、一生読み続けるしかありません。ついていきます(笑)。
2011/2