りぼんの読書ノート

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アンフェアな月―刑事 雪平夏見(秦建日子)

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第1作の推理小説が期待外れだったので、どうしようかと思ったのですが、既に借りていましたので結局読みました。結論から言うと、前作よりも小説っぽく仕上がってはいます。

バツイチで、子持ちで、大酒飲みで、人権無視で、捜査一課検挙率はNo.1で、犯人射殺歴2回で、「無駄に美人」な38歳の刑事・雪平夏見の魅力で読ませる本。ドラマでは篠原涼子さんが演じていたそうですが、彼女のイメージに合ってますね。ただ、ドラマはキャラを生かしたオリジナル脚本とのことで、本書が原作というわけではないそうです。

推理小説」の猟奇殺人事件が解決した数時間後に、乳児誘拐事件が発生します。誘拐犯は交渉役に雪平を指名。事件を追っていく内に新たな連続殺人事件が発覚。誘拐事件との関係を追う捜査陣ですが、結末はまたしてもアンフェアなんですね。

今回は、不治の病を宣告された者が「アンフェア」と感じる怒りが発端なのですが、怒りの向かい先はともかく、その手段は偶然に左右されています。どうやら、このシリーズの「アンフェアさ」は、雪平刑事の人間観察力と直感がはじめから正しく事態を見据えているのに、偶然がそれを覆す展開を見せていくことにあるようです。

2009/11