りぼんの読書ノート

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愛娘にさよならを - 刑事 雪平夏見(秦建日子)

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シリーズ第4作ですが「推理小説の叙述における読者へのアンフェア」との視点は希薄になっているように思えます。小説として上手になったということなのでしょうが、主人公のキャラに頼る普通の小説になりつつあるのかもしれません。

幼い文字で「ひとごろし、がんばってください」と書かれた手紙を読んで、残虐な殺人を犯す男たち。被害者のもとに残された「がんばりました」とのメッセージを繋ぐ鍵は?

一方、前作の事件で負傷して捜査1課から外され、娘・美央とも引き離されたバツイチで、子持ちで、大酒飲みで、検挙率1位で、犯人射殺歴も2回。「無駄に美人」の雪平は、娘への思いに揺れながらも捜査へと戻っていきます。

家を抜け出して手紙を届けに行く少女と、雪平の娘・美央をコンタミさせるミスリーディングを狙っているのでしょうが、ちょっと無理があったかな。ラストに大震災を持ち出した意図は理解できません。

2011/11