りぼんの読書ノート

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紅無威おとめ組 南総里見白珠伝(米村圭伍)

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米村版「大江戸チャーリーズ・エンジェル」の第2弾は「里見八犬伝」をモチーフにした物語でした。というより「八犬伝」の誕生秘話。

老中・松平定信の妹という身分を隠して、「軽業娘の小蝶」や「お色気発明家の萩乃」とトリオを組んでいる「女武道家の桔梗」が持っていた白い珠が突然青白く光り出し、「孝」の文字が浮かんできます。実はこれ、桔梗が館山藩の礼姫から預かっていたもの。

折りしも「失脚した田沼意次の腰巾着だった館山藩主・稲葉正武に不穏の動きあり」との情報を得た定信は、紅無威おとめ組に内偵を託します。そう、定信こそが「チャーリー」なんですが、他の2人はその事実を知らないんです。なぜか萩乃に捕まっていた冴えない武士・滝沢左七郎(後の馬琴)も3人に同行。

3人が館山で見たものは、幕府に無断で復元された安房館山城であり、幕府によって滅亡させられた里見家の再興を図ろうとする謎の人物であり、その背後で妖力を振るう魔女「玉梓」でした。「おとめ組」は壮絶な闘いに巻き込まれてしまいます。

そもそも里見家直系の子孫でなければ白珠の力は使えないはずであり、稲葉家の礼姫は里見家とは何の関係もないのに、なぜ白珠は光り出したのか。その謎は「おとめ組」の運命を左右するのですが、これ以上書いたらネタバレですね。

おとめ組」の宿敵となる人物も再登場。どうやら背後に控えているのは、田沼時代の重商主義の再来をもくろむ豪商たちのようなのですが、彼らは黒幕というよりスポンサーですね。物語には登場しません。続編もありそうです。次作にも期待!

2009/6