世銀が抱えている構造的な問題や、担当した地域に対する専門的な分析などをカバーするような本ではありません。あくまでも、著者がどうして世銀に入ったのか、どのような仕事をしてきたのか、一般論として途上国に対する融資にどのような問題があるのかを、平易な文章で書きとめたもの。
それでも(というより、だからこそ)、著者の情熱がストレートに伝わるのです。「女性のエンパワーメント」という言葉が何度も出てきますが、途上国では一般的に女性の地位が低いところが多いんですね。地位の低さは、教育を受ける機会の少なさに直結しています。世銀の融資が効力を発揮して、その国が自立的成長に向かうためには「女性の解放が経済的にも必須条件」と、著者は力説するのです。
女性を重労働から解放するには電気と水道が必要であり、世銀はインフラ整備のための融資をおこないます。しかしこのような国ではたいてい融資金が利権と賄賂に使われてしまう。そうさせないためには、国民による監視と文化の成熟が必要であり、家庭教育が鍵である。教育を受けた女性が必要であり、そのためにも女性を重労働からの解放しなくては! 循環論法みたいですが、どこかで鎖を断ち切らないと、変革はおきません。
Educate a boy, you educate a human being
Educate a girl, you educate generations
女性を教育すると、子育てを通じて、教育の成果が次の世代に繋がっていく!
Educate a girl, you educate generations
女性を教育すると、子育てを通じて、教育の成果が次の世代に繋がっていく!
巻末には、世銀で活躍している若手の日本人女性スタッフの自己紹介が収められています。みんな、すごいな。決意の面でも能力の面でも。こういうのを読むと、刺激を受けます。Girls Be Ambisious!
2009/6