りぼんの読書ノート

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紅無威おとめ組 壇ノ浦の決戦(米村圭伍)

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軽業師の小蝶、女剣士の桔梗、発明家の萩乃が特技を生かして、お江戸を騒がす大悪人・紀伊国屋幻之介と闘う「大江戸チャーリーズ・エンジェル」シリーズの第3弾。

前作南総里見白珠伝で、「智の珠」で不思議な力を発現させた小蝶の活躍によって幻之介の館山藩乗っ取り計画を阻止したおとめ組ですが、萩乃が攫われてしまいます。後を追った桔梗と小蝶が海上で見たものは、江戸近海を荒らしまわる謎の海賊でした。

もちろんこれも、幻之介一味の仕業。館山藩の乗っ取りをたくらむ一方で、絶海の孤島を海賊基地に仕上げていたのですから、バイタリティありますね~。攫った萩乃を仲間に引き込んで潜水艦を作らせ、さらには罠にかけて捉えた小蝶の力を利用し、海幸山幸の伝説に登場する鹽盈珠(しおみちのたま)と鹽乾珠(しおひのたま)を入手して無敵の存在になろうともくろむのですが・・。

前作で「八犬伝」を登場させたのに続いて、今後は「竜宮城伝説」ですか。しかも、8つの珠はもともと乙姫様の首飾りだったというのですから、驚きです。小蝶の育ての親の軽業師の正体が、時空を超えてきた紀州忍びだったなんていう驚天動地のエピソードも霞んでしまうほどの展開となっていくのには、ただただ唖然とするばかり。

米村時代劇は、『退屈姫君』も『おんみつ蜜姫』も『紀文大尽舞』も『風流冷飯伝』も、全部がリンクしてるんですね。単なる登場人物のリンクではなく、ひとつの世界観を形作っているようです。260年間に渡る江戸時代を縦横無尽に飛び回る博学ぶりにも驚かされます。ちょっと無理筋のリンクもあるようですが・・(笑)。

2010/8