りぼんの読書ノート

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幸運は誰に?(カール・ハイアセン)

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著者は、デミ・ムーアの主演映画「ストリップ・ティーズ」の原作となった小説を書いた方。この本もそれと同様、粗暴でチンケな「アホでマヌケなアメリカ白人」の犯罪者が徹底的にコケにされる、ユーモアたっぷりの犯罪小説です。

美人で強くてスタイル抜群ながら、男運は徹底的に悪い黒人女性のジョレイン・ラックスに幸運が訪れます。失恋した時の年齢を6つ選んだナンバーくじが、2800万ドルの大当たり。ところが、偶然同じナンバーを買った2人組がいたのです。ネオナチ気取りで白人至上主義者の人は、アメリカを左翼や有色人種の陰謀から守るための私設軍隊を作ることに意欲を燃やし、当たりくじを独り占めしようとジョレインを襲って大乱闘の末に奪い取ってしまう。

もちろん、やられっぱなしのジョレインではありません。宝くじ当籤者の取材にやってきた新聞記者のトムと組んで、2人を追いかけます。そこに絡んでくるのが、新聞社のダメ上司に、トムとの離婚を拒否し続けている三流女優に、巨乳がウリのレストランのウェイトレスに、ジョレインに惚れているタフなATF捜査官に、マネーロンダリングをたくらむ犯罪界の大立者に、香水の涙を流す聖母像に、聖なるカメ・・。奇人変人入り乱れてのドタバタ追跡劇は、いったいどうなるのか。

トムのフルネームは、トム・クローム。これってトム・クルーズを意識させてるのでしょうか。タフガイの黒人ATF捜査官はモフィット。「マトリックス」のモーフィアスのイメージ? ヒロインのジョレインは、人種が違うけどアンジェリーナ・ジョリー

アメコミ風の表紙がピッタリですね。新聞記者出身の著者らしく、内容もアメリカ風「勧善懲悪」ドラマです。何も考えず、スカッと楽しみたい時にお読みください。

2009/3

(注) アホでマヌケなアメリカ白人とは、マイケル・ムーアさんの著作のタイトルです。