りぼんの読書ノート

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アンジュのハッピーウェディング(カヴィータ・ダスワーニ)

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適齢期を過ぎたインド人キャリア女性の、結婚までの顛末を描いた著者の自伝的小説。でも、香港に生まれてヨーロッパで働き、今は結婚してLAに住んでいる著者の話ですので、現実のインド社会の物語ではなく、インターナショナルな価値観を身につけ自立した女性が、伝統的な文化や結婚観や家族とどうやって折り合いをつけていくのか、という物語。まさにインドの「ブリジット・ジョーンズ」という感じです。

「アンジュ、わたしはあなたに幸せになってもらいたいんじゃないの。結婚してもらいたいの」という母親の言葉が、この本を見事に象徴しています。「爆笑的なシリアスさ」ですね。^^

20代半ばでもう「嫁き遅れた」といわれる社会で、30をすぎても縁談がまとまりそうにない女性は、ほとんどもう「嫁かず後家」の扱い。母親は占いに頼り、年下の従妹の結婚式などでは年恰好の合う未婚男性を物色しまくり。

もちろん、彼女の求める条件にあてはまる男性など、簡単には見つかりません。同じカーストでなくてはならないし、かなり資産家であるアンジュの実家とつりあいの取れる相手でなくてはならないのです。そういう男性は、得てして、妻のことを召使い程度にしか考えていないし、理想的と思えた男性にはもう決まった相手がいたりして・・。

アンジュだって自分の能力を生かした仕事を続けたいけれど、外国人と結婚してカーストから外れてしまい、家族と縁を切るようなことまでは思い切れません。ニューヨークの職場でも、インドの実家でも、「アンジュといえば婿探し」と思われるほどの話題になってしまいます。

もちろん最後には、アンジュの理想にぴったりの男性が現れて、めでたくアメリカでゴールインとなるのですが、この本を、「悲劇のヒロイン気取りのわがまま娘の物語」と読むのか、「家族や伝統を大切にしながら理想を追い続ける自立したキャリアウーマンの物語」と読むかは、あなた次第です。^^

2008/6/17読了