りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

Xωρα ホーラ(篠田節子)

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この本もダークファンタジーですね。タイトルはギリシャ文字で「ホーラ」。エーゲ海の小島にある廃墟の名前。そこは昔から、ローマ人に、トルコ人に、ヴェネチア人に、ドイツ人に、イギリス人に占領され、蹂躙されてきた、今は廃墟となった町。支配者が変わるたびに、もともとあった土着の宗教も正教、イスラムカトリックプロテスタントへと改宗を余儀なくされていた島。

ヴァイオリニストの亜紀は、長年ダブル不倫関係を続けていた聡史から、ネック先端に女性像が彫りこまれているヴァイオリンをプレゼントされます。それは、エーゲ海の沈船から回収されて修理された、決して名器ではないものの怪しい魅力を持っているものでした。

逃避行のようにエーゲ海の小島にやってきた2人は、そのヴァイオリンが島から持ち出されようとした際に、持ち主とともに海に沈んだものだと教えられます。それと、そのヴァイオリンに関わる不吉な来歴も・・。

「ホーラ」と呼ばれる廃墟に迷い込んだ2人は、聖母マリアのような幻と出会い、さらには亜紀の手のひらから血が流れ出すという不思議な体験をするのですが、そこからの帰り道で事故に出会い、生命の危機にさらされてしまいます。果たしてそれは、聖なるものなのか、邪悪なものなのか、それともただの幻想なのか。そして2人の運命は?

とまぁ、こんなストーリーなのですが、はっきりいって何が言いたいのかわからない小説でした。宗教の話なのか、愛情の話なのか、歴史の話なのか・・。古代から民族や宗教が交錯してきたエーゲ海の小島を舞台にして起きた、不思議な話としか言いようがありません。

2008/6/14読了