りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

燃えるスカートの少女(エイミー・ベンダー)

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天才的な発想というものは、天性のものなのですね。こういう本を読むと、つくづくそう思います。「生きることのせつなさ」を、さまざまな形で描いた16編の短編集。

ここに登場する女性たちは、ある時は喪失を理解できず、ある時は欲望や孤独感に身を焦がし、ある時は研ぎ澄まされた感覚をもてあまし、ある時はセックスによる肉体的な快楽に慰めを見出そうとしながらも、決して癒されることも、満たされることもありません。

彼女らの行為は、どんなに突拍子もない設定のもとでも、どんなに比喩的な世界のできごとであっても、どれも痛々しく、ヒリヒリするような印象だけを遺すのです。

生命の逆進化を続けていく恋人、父が死んだ日に異常性欲に襲われた図書館司書、死んだはずの祖母を産み落とす母親、高校に通う人魚と小鬼のつつましい恋、火の手と氷の手を持つ少女たち、誘惑相手が性的関心を示さないことに困惑する女性、せむし男に恋してしまった女子高生、戦争で唇を失った夫にとまどう妻、触れるものを真っ赤に染め上げていくルビーの指輪・・。

そういえば、次作の私自身の見えない轍の主人公である、コンコンと木を叩く少女も登場していました。

ただ、精神的な痛みが肉体的な痛みとして表現される物語は、どうも苦手です。自分自身が、痛がりで怖がりなもんで・・。^^;

2008/6/9読了