「ゴチック小説の女王」による「ヴァンパイア・クロニクルズ」の第4弾です。かつてトム・クルーズとブラッド・ピットの競演で話題となった「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」の原作は、このシリーズの最初の作品でした。第2作の『ヴァンパイア・レスタト』までは面白かったのですが、第3作の『呪われし者の女王』でくどさが鼻についてしまい、中断していたのです。
本書もくどかったですね。肉体と精神を分離できるという謎の男ラグラン・ジェイムズの誘いに乗って、不死であるヴァンパイアの肉体と、人間の肉体との交換に応じたレスタトの物語。肉体を再交換して元に戻すという約束は守られず、奪われたヴァンパイアの肉体を取り戻しに行く物語なのですが、とにかくくどい。
そもそも何故、そんな交換に応じたのか。レスタトは死を望んでいたのか。その思いは、パリでアルマンに殺害された少女ヴァンパイアのクローディアへの郷愁からもたらされたものなのか。200年ぶりに味わった生身の肉体は、彼に何を思わせるのか。長々と綴られるレスタトの心情は、著者自身の死生観であり、宗教観なのでしょう。だから、くどくなるのです。
ストーリー的には、レスタトの友人でありながらヴァンパイア化を拒み続けてきた、超常現象研究集団タラマスカ総長で老齢のタルボットに起こった「ある変化」が、唯一楽しめた個所。シリーズの次作『悪魔メムノック』は、レスタトによる『神曲』ばりの冒険とのことですから、ここまでは読んでみましょうか。
2014/10