りぼんの読書ノート

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クリフトン年代記1.時のみぞ知る(ジェフリー・アーチャー)

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『ケインとアベル』を髣髴とさせる壮大なサーガと評判の高い、「クリフトン年代記」の第1部。著者が得意とする、庶民階層に生まれた少年が成り上がっていく物語のようです。

1920年代。イギリスの港町ブリストルに住む貧しい少年ハリーは、歌唱の才能に恵まれたことから奨学生資格を得て、進学校に入学。富裕層の少年たちからイジメを受けたものの、同室となった名家の御曹司ジャイルズと、商人の息子ながら学年トップの秀才ディーキンズとの友情を育んでいきます。しかしハリーには、出生の秘密があったのです。

父親アーサーが第一次大戦で戦死したというのは本当なのか。ウェイトレスとして働く母親メイジーの過去には何があったのか。港湾労働者のスタン伯父の逮捕歴の意味は何なのか。師と崇める謎の男ジャック・ターは何を知っているのか。そして、ジャイルズの父親ヒューゴーは、どうしてハリーを忌み嫌うのか。

イギリスに戦火が迫る中、ジャイルズの妹エマと愛し合うようになったハリーは、彼女との結婚を決意します。しかし結婚式の当日、2人の結婚に異議を申し立てたのは意外な人物であり、その理由はもっと意外な事実だったのです・・。

ここまで読んだところでは、良くも悪くもアーチャーらしさ全開です。意思と能力を持った貧しい生まれの少年が、周囲の愛情と友情に支えられ、皮肉な運命に翻弄されながらも成長していく物語。「意外な」と書いた部分も、著者の作風を知っていればそれほど意外でもないでしょう。第3部まである「続編」では、本当に「意外な」展開を見せてくれるでしょうか。せめて、飛行機が遅れるネタは、もう使って欲しくないものですが。

2014/10