ついに、悪霊ラシャーの目論見が明らかにされます。300年前にスコットランドの荒野でスザンヌによって呼び出されて以来ずっと、メイフェア家代々の魔女たちにとりついてきた悪霊は、13代めローアンの登場を待っていました。歴代の近親相姦も計画の一部であり、最強の能力を持った魔女を作り上げることによって、自身の肉体化を図ろうとしていたのです。
超常現象研究団体・タラマスカが記録していたメイフェア家の魔女たちの歴史も、手に触れた物の過去の記憶を読みとるマイケル・カリーの不思議な能力も、全てがローアンの物語に到る過程だったのですね。
莫大な財産を相続してマイケルと幸福な結婚を果たし、ラシャーと対決する決意を固めていたローアンの前に姿を現したラシャーは、誠実な誘惑者のように見えます。そして、生命誕生の謎を差し出して、ローアンの科学者精神もくすぐるのです。マイケルもタラマスカも手を出せない、ローアンとラシャーの戦いの行方は・・。
『羊たちの沈黙』の続編である『ハンニバル』のような読後感でした。もちろん、映画ではなくて原作のほう。(エンディングが全然違うんです)。タイトルの『魔女の刻(とき)』の意味が、こういうことだったとは・・。
本書の紹介文に「すべての謎は解かれ・・」とありますが、違いましたね。続編の『ラシャー』があるんです。続編があることは知っていましたので、全面解決の大団円とならないことは予想がついていましたけど。^^;
2011/7