りぼんの読書ノート

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ギャングスター(ロレンゾ・カルカテラ)

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20世紀はじめ、イタリアからアメリカへの密航船の中で生まれ落ちたアンジェロ少年がニューヨークを支配するギャングスターとなって、ほぼ1世紀にわたる人生をまっとうし、20世紀の終わろうとする頃、病院で死の床につくまでの物語。

今まさに、アンジェロの最後を看取ろうとしている2人の男女、ゲイブという中年男性と、メリーという初老の女性が、彼の人生を語り合います。孤児だったゲイブは、アンジェロに拾われて以来、信頼を得て息子同様に育てられたもののある事情があってから、彼とは袂を別っていましたが、彼の恩義を忘れられずにいるのです。メリーは、そんなゲイブにとっても初対面。

酒場の女傑アイダに拾われたアンジェロが、裏社会の黒幕マックウィーンの薫陶を受け、かつて彼をいじめたパッジと組んでギャングスターの道を爆走する中で、ライバル組織と対立し、ボスを殺されながらも血で血を洗う抗争の末に勝利した30年代。

ニューヨークでトップに上り詰めた後、旧世代の論理も仁義も通用しない、麻薬を武器にのし上がってきた新勢力との対決に臨んだ70年代。いまや、すべての対立者はもちろん、恩義ある者も、相棒も、愛した者も墓の中に去ってしまった老マフィアが最後に行なった、悔やんでも悔やみきれない思いとは・・。

スリーパーズ』の著者らしく、少年時代の思い出の描き方や、少年時代から隠されてきた「秘密」の存在の暴き方などにはオリジナリティを感じますが、映画の「ゴッドファーザー」を超えるマフィア物語というのは難しいですね。どのエピソードも、どこかで見たか聞いたかしたことがあるような話に思えてしまいます。

著者の作品であれば、第二次大戦の末期、イタリアのおとなたちが逃げ出したナポリからナチスを追い出した子供たちの戦いを題材にしたストリートボーイズのほうがいいですね。

2008/5