りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

神と野獣の都(イサベル・アジェンデ)

イメージ 1

これは、イサベルさんによるヤングアダルト小説でしょうか。15歳のアレックス少年を主人公にして、アマゾン奥地で現地の美少女と不思議な冒険をさせ、現代文明が忘れ去ってしまった神秘的なものに触れさせ、悪どい大人の陰謀を暴かせて闘わせ、最後には強くたくましく成長するという、いわゆるイニシエーションものですから。

とはいえ、アマゾンの奥地といえば「マジック・リアリズム」の本場です。わかりやすい本ですが、大人の読者を排除するものではありません。ママの病気の治療のために両親が遠方に出かけることになり、夏の間、ケイトおばあちゃんに預けられることになったアレックスでしたが、活動的な作家のおばあちゃんが計画していたのはアマゾンの奥地で目撃されたという謎の人間型生物「野獣」の探索旅行。

同行するのは、スポンサーの大富豪に、尊大な人類学者に、美人の女医に、護衛の兵士たち。ワイルドなアマゾン奥地にビビりまくり、食事にもテント生活にも馴染めないアレックスですがなんと、ガイドの娘・ナディアとともに、未開のインディオ部族によってさらわれてしまいます。

2人がそこで体験したのは、ミステリアスなインディオの生活であり、自然を崇拝する精神であり、さらには彼らのみが知る秘密の滝つぼや洞窟を通ってたどり着く、「神々が住まう黄金の都市」。2人はそこで「野獣」と「神々」の正体を知るのみならず、自分たちの精神がジャガーであり、イーグルであることに気づかされるのです。

インディオが彼らをさらったのは、彼ら2人に果たすべき役目があったから。やがて探検隊のもとに戻された2人は、大人たちの思惑や陰謀に対峙することになるのですが、ケイトおばあちゃんや、ナディアの父親が協力してくれるとはいえ、武装した兵士たちに立ち向かって、インディオや「聖地」を守ることができるのでしょうか・・。

アレックス少年を冒険へと連れ出す、作家のケイトおばあちゃんは、著者の分身でしょう。ゾロで語り手であったイサベルといい、結構、露出好きな方のようです。^^

2008/5