りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ときどき意味もなくずんずん歩く(宮田珠己)

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「旅行家」で「シュノーケラー」で「ジェットコースター評論家」である宮田さんが綴る、不思議なおかしさに溢れた、脱力系エッセイです。この人の本、はじめて読みましたが、癖になってしまいそうな「おかしさ」なんですね。でも、この「おかしさ」は「爆笑系」でも「抱腹絶倒系」でもなく、なんとなくジワッとくる「おかしさ」ですので、うまく説明できそうにありません。

発作的に大阪から京都まで歩き出したくなっても、徒歩で日本一周なんて決意をしているわけじゃないので、日帰りだし帰りは電車。足にマメが出来てしまって後悔しちゃう。ワイルドな趣味を探そうとしてカヌーや登山を試みるけど、別に人間の限界に挑戦しているわけじゃないので、ちょっと難関に出会ったらすみやかに撤収。

旅の醍醐味は発作的に出かけることにあるので、どうやって「発作的状況」を作り出すか自分に対して心理戦をしかけ、「金沢に行くつもりで出かけて青森に行こう」としても事前に予定したら発作にならないし、そのまま金沢に行ったらそれこそ予定通りだと悩んでしまう。

同じく旅の醍醐味は迷うことにありと信じ、何の予備知識もなくガイドブックも持たずにアムステルダムに行き、いきなり密かな目的にしていた「飾り窓」にたどり着いて困惑。目的が何もない状況は「迷う」とはいえないので、密かな目的程度は必要なのです。

この程度の紹介では、この本の「おかしさ」は表現できていませんね。この本、正月に姉が持参して、自分が読みきった後、うちに放り投げていったものです。まさに自分からは手に取ることのないタイプの本なのですが、最近の姉はこんな傾向の本が好みなのか・・と、関係ないところで少々脱力してしまいました(笑)。

2008/1