りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

イクサガミ 地(今村翔吾)

西南戦争直後の明治11年。大金獲得の餌で京に集められた剣客たちが、最後の9人になるまで互いに殺し合いながら東京へと向かうデスゲームには、どのような裏があったのでしょう。そしてその中で進行するもうひとつのドラマ「京八流の継承者争い」はどのような決着を迎えるのでしょう。3部作の第2巻ですから結論はまだ先のことですが、物語の輪郭は見えてきたようです。

 

「継承者争い」から降りたはずの愁二郎でしたが、見届役の幻刀斎はそれを許してはくれませんでした。既に七弥は殺害されており、本書の中で三助も絶命。愁二郎を恨んでいた四蔵と彩八は力を合わせて幻刀斎を討つことを決意するのですが、甚六とは連絡が取れないまま。しかしデスゲームの中でそのようなことは可能なのでしょうか。

 

その一方で、デスゲームの仕掛人が判明。どうやら大警視の川路利良が4大財閥と組んで、旧時代の亡霊である士族を滅ぼそうとしているようです。警視局の動きに不信を感じた愁二郎は、幕末に知己であった前島密に連絡。浜松で密会して川路らの陰謀を解明。しかしそれを察知した川路は、警官、軍、さらにデスゲーム参加者中最強の貫地谷無骨までも差し向けます。そして川路は、邪魔な存在である大久保利明内務卿の排除に動き出すのですが・・。

 

浜松でのデスゲーム生き残りは23人。愁二郎と行動をともにするのは、義兄弟の四蔵と彩八。人々を結び付ける不思議な力を持つ非力な少女・双葉。元伊賀忍者の柘植響陣。銃に詳しい進次郎。義兄弟の甚六は消息不明。愁二郎を敵視するのは貫地谷無骨。単独行動をとっているのはアイヌの弓の名手・カムイコチャ、元会津藩薙刀使い・秋津楓。元イギリス軍人のラストサムライ・ギルバート。そして京八流継承者全員の殺害を目論む幻刀斎。さらに幕末の過去話に登場する最強の少年・刀夜は誰なのでしょう。大きく広がった物語が、最終巻で見事な決着となるのかどうかも気になります。

 

2023/12