りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

6時間後に君は死ぬ(高野和明)

限定的な予知能力を有する青年・圭史と、彼から6時間後の死を告げられた女性・美緒を主人公とする恋愛サスペンスです。冒頭の表題作の直接の続編が「3時間後に僕は死ぬ」ですが、2つの作品の間に圭史が関連する別の物語が挿入されているので、連作短編のような形式で出版されました。

 

「6時間後に君は死ぬ」

渋谷でいきなり見知らぬ青年に話しかけられた美緒が、新手のナンパかと思ったのは当然でしょう。しかし圭史と名乗るその青年は、彼女の死を予告するのです。ストーカーに付きまとわれていた美緒には思い当たる節があり、親切な担当刑事に相談するのですが・・。果たして予言は当たったのでしょうか。美緒は生き延びることができたのでしょうか。運命の時刻が迫るに連れて、2人の想いは高まっていくのですが・・。

 

「時の魔法使い」

完全に行き詰っていた見習い脚本家のミクは、かつて生家のあった故郷をふと訪れます。よく遊んだ神社の裏の防空壕に隠れていた少女は、幼い頃1日だけ行方不明になったことがある過去の自分なのでしょうか。圭史の協力を得て少女を過去に送り戻したミクは、自分の未来に希望を見いだせたのでしょうか。

 

「恋をしてはいけない日」

恋多き女ミアは、圭史から「今日は恋をしてはいけない」と忠告されたにもかかわらず、交通事故を目撃した時に助けてくれた青年に恋してしまいます。一緒にいて安心できる好青年に恋してはいけない理由とは、なんだったのでしょう。

 

ドールハウスのダンサー」

ダンサー志望ながらオーディションに合格できないでいるミホの夢は叶わないのでしょうか。まるで自分の未来を映していたような、高校時代に訪れたことのあるドールハウスを思い出して再訪したミホは、「あなたが最後のお客様です」と告げられるのです。そのドールハウスを作ったのは、圭史の祖母でした。

 

「3時間後に僕は死ぬ」

表題作から5年後、バンケットホールに勤め始めた美緒は、結婚式の招待客として訪れた圭史と再会。しかし彼は、3時間後に自分が死ぬ未来を見てしまったというのです。どうやら多くの人が犠牲になる爆破事件が起こるようなのですが、2人は未来を変えられるのでしょうか。5年前の時は幻視したことは起きてしまったのですが・・。

 

「エピローグ 未来の日記帳」

自分の未来など知ってはいけないのでしょう。「明日はきっといい日だよ」と思うだけで十分のようです。

 

2023/9