りぼんの読書ノート

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ルパンの帰還(横関大)

アルセーヌ・ルパンになぞらえて「Lの一族」と呼ばれている三雲家のひとり娘・華と、警察官一家の桜庭家のひとり息子・和馬との許されない恋愛を描いた『ルパンの娘』の続編です。あれから5年、いまだ事実婚状態ながら娘・杏を授かって順風満帆な2人の関係ですが、いったんは親戚づきあいを始めた両家の間にひびが入り始めていました。さらにそこに新たな攪乱要因が入り込んできます。それは関西で「ホームズ一族」と呼ばれる私立探偵を家業とする北条一族のひとり娘・美雲が警察官となり、和馬の部下として配属されてきたのです。この続編もドラマ化され、天才的な推理力を有しながらドジで愛嬌もある美雲を、橋本環奈さんが演じているとのこと。

 

なぜか現場に「L」のイニシャルが遺された法務省のエリート官僚殺害事件を捜査している和馬と美雲のもとに、保育園のバスジャック事件が飛び込んできます。しかもそのバスには、三雲と杏が乗っているというのです。妊娠中の保育士に代わって人質となった美雲は、華と協力して事件を解決するのですが、この事件には裏がありました。2つの事件は関係しており、そこから浮かび上がってきたのは、三雲一族のはぐれ者で、30年前に逮捕され無期懲役刑に処されていた華の伯母・玲の存在だったのです。天才の肉親が最大の敵となる構図でしたか。そういえば、カンバーバッチがホームズを演じたBBCドラマ「シャーロック」でも、全ての黒幕の敵はホームズの妹ユーラスでしたね。

 

この事件は続編『ホームズの娘』へと続いていきます。しかも本書のラストでは、華の兄で引き籠りハッカーの渉に、美雲は一目ぼれしてしまった様子。三つ巴、四つ巴の関係は、ますます複雑さを増していきそうです。

 

2023/4