りぼんの読書ノート

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ルパンの娘(横関大)

深田恭子主演でTVドラマ化された作品です。主人公の華が育った三雲家は代々泥棒を稼業としていて、アルセーヌ・ルパンになぞらえて通称「Lの一族」と呼ばれている一族。華は図書館員として普通の生活をおくっているのですが、幼い頃から英才教育を受けた盗みの技は天才的なのです。その一方で彼女の恋人である桜庭家は全員が警察官で、ついでに飼い犬も元警察犬。

 

もちろんそんな家どうしの結婚がうまくいくはずもないのですが、両家の祖父の間には何やら秘密の関係があるようなのです。しかし華がはじめて桜庭家の人々と顔合わせをした直後に発見された焼死体は、華の祖父である三雲巌でした。はたして超一流の泥棒であった祖父を殺害した犯人とはいったい誰なのでしょう。そしてそれは両家の祖父が長年隠していた秘密と関係があるのでしょうか。

 

本書のテーマは「ロミジュリ」ですが、よくもまあこんな設定を考え付くものです。ドラマでは華の母親を小沢真珠が、和馬の母親をマルシアが演じたとのことですが、さぞ見ごたえある応酬があったのではないでしょうか。華の祖父を演じた麿赤兒と、和馬の祖父を演じた藤岡弘も好対決カードですが、原作を読んだ限りでは直接の絡みは少ないようです。この種の作品は設定に寄りかかりすぎることが多いのですが、本書はストーリー自体も楽しめました。続編では、橋本環奈が演じる探偵一家・北条家の娘も登場するとのこと。こちらは「ホームズの娘」ということなのでしょうか。

 

2023/3