りぼんの読書ノート

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ルパンの絆(横関大)

『ルパンの娘』シリーズの最終第5巻では、Lの一族のひとり娘・華の一家に最大の試練が訪れます。警察官の夫・和馬は、ホテルのバーで張り込み中に意識を失い、目を覚ますとスイートルームにいて浴室には美女の死体。何者かに嵌められたわけですが、容疑を晴らすために単独で真犯人の捜査に乗り出します。スランプを脱していた探偵一家ホームズの娘・美雲は捜査チームに加わりながら、密かに和馬に協力を試みるのですが・・。

 

そのころ華の元に架かってきたのは「娘を返してほしければ10億円を用意しろ」との脅迫電話。杏を誘拐したのは、やはり三雲家を恨んでいる華の伯母・玲なのでしょうか。2つの事件が交錯しながら進む中で、やがてLの一族の秘密があきらかになってきます。そして玲の本当の狙いも。

 

泥棒一族、警察家族、探偵一家が全員集合するクライマックスは、フィナーレにふさわしいですね。互いに罠を張り巡らせる中で、最後の切り札を有していたのは誰なのでしょうか。そしてLの一族の秘密を知ってしまった華は、何を決意するのでしょう。華や美雲と比べると、これまであまり目立っていなかった夫の和馬が、ラストになって頼りになるところを見せてくれるのですが。

 

家族を決めるのは、やはり愛なのです。このシリーズはこれで本当に終わってしまったのでしょうか。ルパンやホームズの原典を知っている者には特に楽しめる物語でしたので、スピンオフでもいいから続編を期待したいものです。見損なったドラマも見てみたいかも。

 

2023/4