りぼんの読書ノート

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ルパンの星(横関大)

『ルパンの娘』シリーズの第4巻では物語はいよいよ佳境に・・と思いきや、探偵一族ホームズの娘の美雲は所轄でくすぶっていました。前巻でルパンの一族の息子で凄腕ハッカーの渉との交際を認められたものの、同棲を初めて1年後にあっさり別れてしまい、失恋の痛手を乗り越えられないでいたのです。一方、警察一家の和馬と事実婚状態のルパンの娘・華の一人娘・杏は小学2年生となり、優れた能力を見せ始めたようですが、母方の祖父母が泥棒であると知ってしまいました。難しい年ごろですね。

 

警視庁捜査1課の和馬は、新しい上司を迎えました。新班長の木場美也子は難事件をたちまち解決に導いて、噂通りの切れ者ぶりを発揮。そんな時に起こった元警察官の殺害事件でも、たちどころに自殺した犯人を特定して捜査終了を宣言するのですが、どうやらこれには裏がありそうです。所轄で美雲と再会した和馬は、ある出来事がきっかけとして、再び彼女のやる気スィッチが入ったことに気付くのですが・・。

 

真犯人の存在といい、その裏で暗躍している存在といい、華が危地に陥る展開といい、なかなか良くできたストーリーです。しかし三雲家を恨んでいる華の伯母・玲、通称モリアーティとの決着はまだついていません。未解決のまま。杏の成長は物語の鍵になると考えていて、本書の中核ともいえる三雲玲もその行く末を待ち望んでいます。華を味方につけることに失敗した玲は、杏に狙いを定めたのかもしれません。次巻での決着が待ち望まれます。

 

2023/4